珈琲と花の香りの君
うつむき加減に、
「…あの、」
切り出せば、
「どうされました?」
珠利ちゃんの涼やかな声が、響いた。
何だかその声に、落ち着きを取り戻した俺。
思い切って、珠利ちゃんを見つめた。
「…今日、珠利ちゃん誕生日だって聞いたから、…おめでとう!!」
プレゼントを押し付けるようにして、珠利ちゃんに手渡して、逃げるように店を出た俺。
「…及川さん…」
珠利ちゃんが、俺を呼ぶ声が聞こえた気がしたけど、立ち止まれない俺。