珈琲と花の香りの君



珠利ちゃんが、俺に会いに来てくれたのは、昨日の夕方のこと。



舞い上がる俺は、とりあえず珠利ちゃんを食事に誘った。



どこにでもある、居酒屋で馴染みのメニューを頼んだって、珠利ちゃんと一緒なら何を食べても何を飲んでも美味しいし、嬉しい。



サラダや唐揚げを取り分けてくれる、細く白い珠利ちゃんの指先に見とれていたら、



「…あの…、」



少し言い辛そうに、珠利ちゃんが話し出した。



その表情にいたたまれなくなった俺は、



「…ちょ!ちょっと待ってっ!!無理無理無理無理!!今から、やっぱり付き合えないなんて無理だよ!!」(どうか俺を奈落の底に突き落とすのだけは、勘弁してください…)
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