秘密と家族

兄弟

琉雨と華秀の元に向かう。
｢琉雨！華秀くん！｣

｢琉梨、お疲れ｣
｢お疲れさん、琉梨｣
二人が笑顔で出迎えてくれた。

それだけで琉梨は、とても充実した気持ちになれるのだ。


ゆっくり三人で食事をしようということになり料亭に向かう。
｢いらっしゃいませ｣
仲居が出迎える。
｢あー君、確か先週入ったって言ってた子だよな｣

｢はい、先週は大変申し訳ありませんでした！
オーナー様とは知らずに……｣
仲居が頭を下げる。
｢もういいよ。それより今日は三人。
突然だけど、大丈夫？｣

｢はい。奥の個室へどうぞ｣
仲居が案内する。

｢華秀くん、先週も来たの？｣
｢あぁ｣
｢え？じゃあ…他のとこの方が良かったよね？｣
｢いいよ。琉梨、好きだろ？ここの寿司｣
｢そうだけど……｣

｢琉梨、気にしなくていいんだよ？
華秀は、琉梨が一番なんだから｣
琉雨は琉梨の頭を撫でて言う。

｢え？一番…？｣

｢そうだよ！俺の宝物だよ、琉雨と琉梨は｣
華秀も微笑んでいる。

｢華秀くん｣
｢ん？｣
｢自分自身を大切にして？｣
｢大切にしてるぞ？｣
｢華秀くんは、私や琉雨の為に色んなモノを犠牲にしてる。もう…いいんだよ？私、華秀くんが幸せになるなら、できる限りの事するよ！｣
華秀を見上げ、瞳を揺らす琉梨。

｢じゃあ…そうだなー
もっと、俺に甘えろよ！｣
｢え？｣
｢俺は、二人の為に生きてるから。
もっと、二人に頼られたい。
そうだなぁー、ワガママ言えば……秀彦より俺を頼ってほしい！｣

｢え？秀パパ？｣
｢そう｣
｢華秀くんは、秀パパ嫌い？｣

｢あぁ。でもそれはお互いにな。
俺達はお互い“何があっても”わかり合えない｣
華秀の優しい瞳が、鋭く尖ったように琉梨に刺さった。

【琉梨、僕には無理だよ。華秀を一生受け入れられない。あいつは、一生赦さない！】
秀彦の言葉だ。

その為……実は琉雨と琉梨は秀彦から、華秀に会うことを禁じられている。

奥のVIP専用の個室で、寿司など和食に舌鼓している三人。
琉雨と華秀は酒と煙草を、琉梨は一人料理を堪能していた。

｢やっぱ、最高だ！二人と酒と煙草。
それだけで、俺は生きていける！｣
華秀が微笑み言う。

｢俺も、幸せ｣
琉雨も微笑んだ。

｢私は……｣

本当は家族“みんなで”仲良く暮らしたい━━━━━

でも……そんなこと、言えない。

｢みんなで仲良くしたいんだろ？｣
｢え？｣
｢琉梨の思いはわかってる。
………………でも、ごめんな…！｣
華秀が切なく微笑み言ったのだった。