秘密と家族

｢あ…あ……秀パパ…痛い…！！！｣
｢あ…ごめん、ごめんね！
琉梨は、僕達の部屋に行きなさい！｣

琉梨の肩から離し、琉梨の顔を覗き込み力強い目で言った。
｢え……い、嫌！私も、行く！｣
｢ダメだよ、琉梨！！
だいたい！言ったよね？華秀には会うなって！
…………ちょっと、そこの君！｣
琉梨に諭し、近くにいた仲居を呼び止める。

｢はい！｣
｢この子を、松の間に連れていって！
僕の大切な娘だから、丁重にね！
あと、女将をここに至急連れてきて！！｣
｢はい！かしこまりました！
神倉様、どうぞ？｣
琉梨の腰を支え、仲居が促す。

｢あ、あの！私！｣
｢琉梨！！一誠達のとこに行きな！！｣
普段は優しい秀彦の厳しい表情に、琉梨はもう何も言えなくなる。
｢うん…｣

そのまま琉梨は、一誠達のとこに向かった。
｢琉梨！？｣
｢パパ、ママ…雨里ママ…｣

｢神倉様に、こちらにお連れするように言われて……｣

琉梨は、事情を一誠達に説明する。

｢━━━━━━━華秀が！！？
そう……｣
｢それで、秀パパが怒って……｣
琉梨が目が潤み、溢れてくる。

｢琉梨、大丈夫よ。秀彦さんは、琉梨に怒ったんじゃないのよ｣
梨央が抱き締め、背中をさする。

｢どうしよう…華秀くんと秀パパの仲がまた、拗れちゃう……！私は、仲良くしてほしいのに……｣
｢そうね。でも……秀彦さんと華秀くんの中には、琉梨にはわからない長い複雑な思いがあるの。
だから、見守らないと……！｣

梨央がゆっくり琉梨に言い聞かせるように言う。

｢でも、止めには行かないとね｣
一誠が言い、梨央と雨里を見る。

｢私が行ってくるわ！琉梨ちゃん、大丈夫よ！
ちゃんと止めてくるから！｣
雨里が琉梨の頭をポンポンと撫で、部屋を出て行った。

そして、秀彦は━━━━━━
女将から琉雨と華秀がいる部屋を聞き出し、向かっていた。

バン…！！！と襖を乱暴に開け、中に入る。

｢━━━━━━！！！？秀彦！！？｣
｢親父！！？なんで！？｣

｢華秀！！言ったよな！！？琉雨と琉梨に会うなって！！｣
｢それは、琉雨と琉梨が決めることだろ！？
もう二人は、大人だ！あんたの指図を受けなくていいんだよ！！？てか、なんでいんの！？｣

｢琉梨に聞いた｣
｢琉梨！？｣
｢琉梨に聞いたって……親父、琉梨は！？｣
｢一誠達のとこにいる｣
秀彦の言葉に、華秀と琉雨が声を荒らげる。

｢はぁ！！？
まさか！琉梨から無理矢理聞き出したのかよ！？｣
華秀は秀彦に掴みかかる勢いで言った。