秘密と家族
「ありがとうございました」
「お大事に」

琉梨の退院日。
みんなが迎えにきていた。

「琉梨、退院おめでとう!」
花束を持った華秀がいた。

「華秀くん、来てくれたの?」
花束を受け取り、微笑む琉梨。

「うん、まぁね!」
「あ、でも…秀パパが……」

「大丈夫!秀彦が、琉雨と琉梨の傍にいていいって言ってくれたんだ!」
「ほんと!?嬉しい!!
琉雨、堂々と華秀くんといれるね!」
「そうだね」

嬉しそうな琉梨に、琉雨も微笑んだ。



それから七人で、料亭に来ていた。

「まさか、華秀様も同じ席にいらっしゃるとは……!
光栄です!」
女将も、少々興奮気味だ。

「まぁね!よろしくね、女将!」
「もちろんでございます!」

「フフフ…」
「ん?琉梨、どうしたの?」
「なんか、いいね!こうゆうの!」
幸せそうに言う、琉梨。

「そうだね!」
琉雨も微笑んだ。
「華秀くんに、やっと…家族ができた!!
フフフ……」

「え?俺?」
「うん!秀パパが、華秀くんを受け入れられないのはわかってる。でも私にとっては命の恩人だし、華秀くんは大切な叔父さんだし、だから私が家族を与えてあげたかった。でも私、傷つけてばかりで……
私がママだったら良かったって……いつも思ってた」

「え?梨央……さん…に?」

「華秀くんは、ママのこと…好きなんでしょ?」

「え……」

この琉梨の発言は、華秀を始め誰もが驚愕していた。

「違うの?」
「琉梨、なんでそう思ったの?」
琉雨が琉梨に窺うように言った。

「え?だって、華秀くん…ママを見る目が明らかに違うし……」

「バレてたんだぁー(笑)!」
華秀が笑っていった。

「でも、ママはダメだよ!」
「え?」
「ママは、パパのモノだから!」
「琉梨…?」

「だから、パパから奪わないで?
私と琉雨が、家族になるから」
いつになく真剣な眼差しで言う、琉梨。

「琉梨?」
梨央が琉梨の顔を覗き込む。

「お願い。パパとママを…これ以上……傷つけないで?」
琉梨は、目が潤んでいた。

「琉梨ちゃん、何か知ってるの?」
雨里が琉梨を見据えた。

「パパは……私の本当のパパじゃないんでしょ?」

「え……!?」
「琉梨、知ってたのか?」
一誠が目を丸くして言った。

「うん…」
「じゃあ、本当の父親が誰かは知ってるのか?」
「それは、知らない。
でも、聞きたくない。
私のパパは、パパだけだから!」

琉梨は、どこかで華秀が自分の父親ではないかと察していた。
それは、華秀と梨央のお互いを見る目が明らかに恋をしてると感じられるからだ。

「そう…か…」
「パパは、私のパパだよ!
血の繋がりなんて、関係ないよ!」

「……………そうだな。
琉梨は、俺の大事な娘だよ!」

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