【完結】余計な愛はいらない。
余計な愛はいらない。
片思い✕セフレ
「あっ……っ、んっ」
「杏実……」
「はぁっ、ダメッ……」
平日の夜21時。
わたしは片思い相手と、ホテルの一室にあるセミダブルのベッドの上で情事を交わしていた。
情事の相手はわたしの片思い相手。……だけど彼には奥さんも子供もいるんだ。
そう、わたしは彼の不倫相手なのだ。 ただこうして平日の夜に体を重ね合うだけの関係にしか過ぎない。
けどわたしは、彼のことが好きなんだ。 体だけじゃなくて、心までも虜にされたの。
彼の吐息、息づかい、そして彼の香水の香り。彼のすべてが、わたしの片思いだ。
彼は既婚者だから、土日には会えない。
会えるのは平日の夜だけ。だからこうしてお互いの欲を満たすために、何度も体を重ね合う。
「んっ、ちょっと待って……」
「待たない」
こうして敏感な部分を撫でられるたびに、わたしの体全体が疼いていくのが分かるんだ。
わたしはそれほどまでに、彼を欲している。
自分でも信じられないくらい、彼との相性はいい。……ただ一つ、彼が【既婚者】だということを除いてーーー