【完結】余計な愛はいらない。
「杏実、シャワー出たぞ」
シャワーを浴び終えた玲音は、タオルで髪を拭きながらベッドへとやってきた。
「……杏実?」
下を向いたまま何も言わないわたしに、玲音は不思議そうな顔をしてのぞき込んだ。
「……ねえ、玲音」
「なんだよ?」
ねえ、玲音。……わたし、玲音のこと本当に好きなの。
ずっとね、玲音のことがほしかった。体だけじゃなくて、その心までがほしかった。
「……もう、終わりにしたい」
「え?」
「もう……。終わりにしたいの」
この中途半端な気持ちを我慢してまで、もう辛い思いはしたくない。
「……杏実、それって」
「わたし……もう玲音のセフレ、やめたい」
セフレのままなんてイヤ。体だけ繋がっていても、心が離れているなら、もうわたしには成すすべなんてない。
「杏実……」
「わたし、玲音のことが好きなの。……玲音にとってわたしは、セフレかもしれない。けどわたしにとって玲音は、本当に大切な人なの。体だけじゃなくて、玲音の全てがほしかった。……だけどそれが出来ないなら、もう終わりにしたい」
これが最善の選択。わたしは間違ってない……。