【完結】余計な愛はいらない。
別れ✕出会い
「杏実、俺は……っ」
何かを言いかけて、玲音は話すのをやめた。
「……分かってるよ。玲音には家族がいるし、わたしなんてただのセフレってだけだから。玲音がそれ以上の感情持つことなんて……あり得ないでしょ」
分かってるよ、わたしだって。……そんなこと、言われなくたって分かってる。
「バイバイ、玲音……。今日まで楽しかったよ、ありがとうね」
そう言ってわたしは、部屋を出ようとした。
「杏実……!」
そんなわたしを引き止めるのは、玲音だった。
「玲音。奥さんと子供のこと、ちゃんと幸せにしてあげてね」
わたしはそう告げると、そのまま部屋を出ていった。
「っ……玲音……」
玲音とは今日で最後。今日でわたしたちのセフレという関係は終わる。
わたしはもう、玲音とは何も関係ない。……もう、関係を持つことなんて出来ない。
終わりにしたいと言ったのはわたしだ。だからこそ、わたしは前を向かないとイケない。
大好きな玲音との思い出が、今日でなくなる。そう思うだけでわたしは、こんなにも辛い。
「玲音……玲音っ……」