【完結】余計な愛はいらない。


 その日わたしは、家に帰ってから涙が枯れるまで泣いた。
 ずっと涙が止まらなくて、どうしても玲音のことばかり考えてしまうんだ。  
 大好きな人と離れることがこんなにも辛いなんて……。すごくしんどい。  


✱ ✱ ✱


「お疲れ様でした」

「お疲れ様〜」

 それから数日経った頃。仕事を終えて帰宅しようとわたしは、一人でいるのが辛くて行きつけのバーで呑むことにした。

「マスター、こんばんは」

「お、杏実ちゃん。久しぶり〜」

 マスターは笑顔で出迎えてくれた。

「マスター、ジントニックお願いします」

 バーカウンターに座ったわたしは、ジントニックを注文した。
 マスターは「ジントニックね。了解」と返事をした。
 
「お待たせ、杏実ちゃん。 はい、ジントニック」

 数分後に、目の前に置かれたジントニックをわたしは一口口にする。

「……美味しい」

 一人で呑むのは寂しく感じる。 周りをちらりと見渡すと、カップルや会社の友人たちと楽しく呑んでいる人たちが多い。

「杏実ちゃん、今日は彼氏来てないの?」

「……え?」

 彼氏って、玲音のことだよね……。
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