【完結】余計な愛はいらない。


 すごく悔しい。ずっと好きなのに、ずっとそばにいたいのに。

「……離婚してなんて、言えるわけない」

 彼は奥さんとの時間も大切にしているから。
 奥さんの誕生日、そして結婚記念日。奥さんのことを大切にしている証拠だ。

 わたしは奥さんみたいに愛してもらえない。誕生日の日も、わたしは彼に一緒に過ごしてはもらえなかった。
 偶然にも、わたしの誕生日と彼と奥さんの結婚記念日が同じ日だったから。
 わたしは彼とは本当にセフレということだ。体以外、愛してはもらえないんだ。

 だけど例え愛してもらえなかったとしても、わたしは彼のことが好き。 どうしようもなく、好きなの。
 この気持ちを止めることは出来なくて、結局彼のことを強く深く、愛してしまう。
 そして愛されたいと願っているんだ。

 

「セフレでもいいから、愛してくれる?」

「心までは無理だ。……でも体だけなら、愛してやってもいい」

 初めて彼と出会った時、わたしは彼にそう言われた。
 だけど体でも愛してくれるならと、彼のセフレになることを決めた。
< 3 / 59 >

この作品をシェア

pagetop