【完結】余計な愛はいらない。
「杏実はすぐそうやって焦らすんだよなあ。な?杏実」
「ええ?焦らしてません」
こうやって子供みたいに拗ねてみる所も、最高に愛おしいと思ってる。
わたし、野瀬さんとあの時出会えて本当に良かった。
「杏実は時々、意地悪なんだよな」
「ええ?意地悪なのは、野瀬さんでしょ?」
野瀬さんはいつもベッドの中で、すごく意地悪するし……。もちろん大切に優しく抱いてくれる時もあるけど、最後の方はすごく激しくしてくる。
「でもそんな杏実が、俺は好きだよ」
「……ありがとう、野瀬さん」
そんな会話をしていた、その時だった。
「杏実……?」
と誰かに声をかけられた。声のする方に視線を向けてみるとーーー。
「……玲音?」
そこにいたのは、スーツ姿で歩く玲音の姿であった。 仕事終わりなのか、少し疲れた顔をしているようにも見える。
「玲音?……お前が玲音か?」
玲音に気付いて先に声をかけたのは、野瀬さんの方だった。
「……杏実、彼氏か?」
「う、うん……」
なんでこんな時に出会ってしまうのだろう……。
一番会いたくない人にーーー。