【完結】余計な愛はいらない。
「……ああ、杏実たちの言う通りだ。自業自得、だな」
「杏実を傷付けたこと、俺は絶対に許せない。杏実の身体を弄んで傷付けたこと、俺は絶対に許さない。……例え杏実が許したとしても、俺だけは絶対に許さない」
玲音にそう言葉をぶつけた後、野瀬さんは「杏実、行こうか」と言ってわたしの肩を抱いて歩き出した。
「杏実、大丈夫か?」
家に帰ったわたしに、野瀬さんは優しく声をかけてくれる。
「……うん」
玲音と再会してしまったことで、わたしは罪悪感を感じた。 奥さんがいると分っていたのに、何度も身体を重ねあったこと、そして玲音のことを好きになってしまったこと。
そのことが原因で、玲音が離婚してしまったことで、わたしの罪悪感は消えそうになかったーーー。
「大丈夫、俺がそばにいる。……杏実は何も悪くない。杏実のせいじゃないんだ」
抱きしめてくれる野瀬さんのその腕の中で、わたしは少し震えていた。
「野瀬さん……。ごめんなさいっ……」
「杏実が謝る必要なんてないんだ。……俺は杏実のそばにいるから」
そう言われたわたしは、野瀬さんの唇にそのままキスをしたーーー。