【完結】余計な愛はいらない。


 そう言われてわたしは「……わたしも、颯人の笑った顔が一番好きだよ」と言い返した。
 その日の夜は、二人お互いに抱き締めあって眠りについた。

 

✱ ✱ ✱ 



「結構寒くなってきたね」

 それからしばらくして、気がつけば冬本番を迎えようとしていた。 12月ともなると寒さが厳しくなり、もうコートが必要かなと感じるくらいだ。

「杏実のニット帽、本当に暖かいな」

「本当に?良かった」

 わたしの手作りのニット帽を、出掛けるたびにいつも被ってくれる颯人。
 嬉しそうに【暖かい】と言ってくれる。

「後手袋も暖かい。ありがとうな」

「うん。サイズもピッタリそうで良かった」

 ニット帽の他にもニットの手袋も編んだのだけど、それも付けてくれている。
 颯人が喜んでくれるのが、一番嬉しい。

「杏実の愛がたくさん詰まってるから、スゴイ暖かい」

「ありがとう」
  
 手作りのニット帽に手作りの手袋。手作りのものばかりだけど、それを受け取ってもらえるだけで嬉しい。

「さ、早く行こう、杏実」

「うん」

 お互いに手を繋いで、冬の公園通りを歩いていく。
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