【完結】余計な愛はいらない。
愛する人✕永遠の幸せ
「そうか。元嫁が……」
その日の夕方、部屋での打ち合わせを終えた颯人に、美麗さんが家に来たことを話した。
「うん。……離婚した原因、教えてくれた」
「……そうか」
「わたし……美麗さんにも、幸せになってほしいなって思う」
美麗さんと玲音は離婚してしまったけれど、それでもこの先、二人は子供の両親として繋がりを持つことになるんだ。
玲音と美麗さんが選択した【離婚】という名の別れを、わたしは間違っているとは思えない。それが二人が出した答えなら……。
「玲音は本当に、残酷な男だな」
と、颯人は言う。
「……え?」
「玲音は二人の女を幸せに出来なかった。……いや、一人の女さえも幸せに出来なかったんだ。残酷な男だろ?」
そう言われたわたしは、颯人のその言葉に「……そうだね」と答えた。
「一人の女も幸せに出来ないような男じゃ、この先も誰かを幸せにするのは難しいと、俺は思うね」
「颯人……」
颯人はわたしの頬を優しく撫でながら「俺は杏実を幸せにする自信しか、ないんだけどな?」と笑った。
「ありがとう」
わたしも、幸せになる自信しかないよ。