ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「あなたが、獅子谷くんね。来てくれてありがとう。陽葵李も優真も喜ぶわ。どうぞ、入って。」

「失礼します。」

俺は、線香をあげるために高野さんの家を訪れた。

檜山さんにお願いをして、高野さんのお母さんと連絡をとってもらったのだ。

仏壇の高野さんの写真は、俺が北海道で撮ったものだった。

その隣には、俺がプレゼントしたひまわりのマスコットがいた。

俺が線香をあげ終わると、高野さんのお母さんがお茶とお菓子を用意してくれた。

「獅子谷くん、少し時間あるかしら?あなたとお話がしたいの。」 

「はい。」

「よかった、ありがとう。」

俺は、この人に謝らないといけない。

「あの、すみませんでした。優真くんのとき…俺、なんにもー。」

「いいのよ。顔あげて、獅子谷くん。」

「でも…。」

「いいの。その場にいたあなたが、1番ショックだったと思うし、今日来てくれたからいいの。謝らないで。」

「…はい。」

「優真も、陽葵李もあなたの話を良くしてくれていたのよ。それも、すっごく楽しそうに。」

「そうだったんですね。」



「っあ、そうだ。これを渡さないとね。」

高野さんのお母さんは、そう言って俺に日記帳を渡した。

「これって…。」

「陽葵李は、ライオン観察日記って呼んでたわ。」

「少し、読ませてもらったことがあります。」

「そうだったのね。これ、陽葵李からあなたに渡すようにって頼まれてたのよ。」 

「…見てもいいですか?」

「もちろん。」



「……え。」



日記は、優真くんが亡くなってからも続いていた。




ーお兄ちゃんが、観察日記を書けなくなっちゃいました。

だから、私が代わりにこの日記の続きを書こうと思います。
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