ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
集合時間10分前。

少し早くついてしまった。

冷静になってみると、異性と出かけたことなんて一度もない。

なにか、変な緊張感がある。

周りからはどう見えるのだろうか。

仲のいい友達に見えるだろうか?

それとも、不良が絡んでるように?

それかー。

『お待たせー!』

「全然、待ってないよ。」

『おはよう。獅子谷くん。』

「おはよう。高野さん。」

『今日はよろしくね。』

「うん。」

『じゃあ、早速行こうか!』

俺たちは大型のショッピングモールに向かった。

『これかわいい!ねぇ、獅子谷くんどう思う?』

「え、うん、いいんじゃない?」

『あ!適当に答えたでしょ?こっちきなよ。そこからじゃわからないでしょ?』

「え…。」

女子が溢れる可愛いらしいお店に俺は入れずにいた。

『ほら、はーやーくー。』

「いや、いいよ。まってるから、ゆっくり見ー。」

『買い物付き合うって約束でしょ?』

高野さんは、俺の腕を引っ張り、俺を店の中に連れ込んだ。

『獅子谷くん。このワンピ可愛くない?』

「え、そういうのはわからないよ。女子じゃないし。」

『獅子谷くんが可愛いと思うかどうかを聞いてるの。』

「そう言われても…。」

『わかった。私これ試着する。来てみないとわからないもんね。』

「え、ちょっ!」

『すぐ着るから待っててね。』

高野さん、この女子の空間に俺をひとりにしないでよ…。

「あの、着れた?」

『まだ、これはちょっと時間かかるな。あ、獅子谷くん、待てないからってのぞいたらダメだからね。』

「のぞかないよ!」

周りの視線が怖いから、お願い、早く出てきて高野さん…。

『お待たせしました。ジャーン!』

白いワンピースを着た高野さんが出てきた。

「…。」

『どうかな?結構良きじゃない?』

「うん…似合ってると思うよ。」

『形綺麗だよね?!よし、これにしよう!』

「うん。」

『あとは、色だな。今着てるの白で、あの水色も可愛いんだよね。どっちがいいかな?』

「白。」

『おお!即答。』

「いや、あの、適当なんじゃなくて…白の方が高野さん似合うと思うから…。」

『獅子谷くんがそういうなら白にしよう!これ、買ってくるね。獅子谷くん外で待ってていいよ。』

「わかった。」

俺は、ようやく解放された。

…恥ずかしくて言えなかったけど、試着室から出てきた高野さんを見た時、思った。

なんて綺麗な人なんだろう。
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