ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
俺たちは、串カツ屋をでて、モールの中をうろうろしていた。

『あのお店可愛い!行こう!獅子谷くん。』

また、女子だらけの雑貨屋さんに連れ込まれた。

『ねぇ、これ獅子谷くんに似てる。』

そういって、高野さんは羊毛フェルトでできた小さなライオンのマスコットを見せてきた。

「…似てるか?」

『似てるよ!ほら、この立髪とか!』

「俺の癖毛が立髪みたいってことね…。」

『獅子谷くん苗字に獅子って入ってるし、クラスの人もライオンみたいって言ってたし、ピッタリだよ!』

「ライオンみたいって…癖毛で凶暴だからだよね…。」

『そうかもね。でも、私はかっこいいと思うよ。ライオン。』

「…そうですか。」

『うん。これ、今日付き合ってくれたお礼にプレゼントするね。』

「え…いいよ。」

『ピッタリすぎるからあげたいの。使えるものじゃないけどさ、気持ちだから貰ってよ。』

「…わかった。ありがとう。」

『買ってくるね。』

俺に似てる…か…。

それにしても、いっぱいあるな。

可愛いってのも、まぁ、わからなくない。

…あっ、これ…。

「高野さん、待って。」

『どうしたの?』

「俺も、一緒にレジ行く。」

『何か買いたいものあったの?』

「うん。これ、ライオンのお礼。」

『羊毛のひまわり?可愛い。』

「うん、高野さんにピッタリだと思って。」

『名前、陽葵李だしね。笑』

「それもある。あ、レジ混み出してる。行こう、並ばないと。」

『うん。笑』
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