ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「よし、まず5文型からおさらいしよう。」

「5文型?」

「うん。基本中の基本だから。これをしっかり把握すると、文が読みやすくなるし、解ける問題も増えるはずだよ。」

「そ、そうなんだ。」

「じゃあ、さっそく始めるよ。」

中村くんに、英語を教えるのはとても楽しかった。

集中すると、時間が経つのは早くて、1時間はあっという間に終わった。

中村くんとの1時間はなぜだか懐かしい感じがした。

「あ、ありがとうございました。」

「お疲れ様でした。」

「2人ともお疲れ。中村どうだった?」

「すごいわかりやすかった。頭良くなった気がする!なんか、英語頑張れそうな気がしてきた!」

「そうか、そうか。それで?」

中村くんは俺の方を向いて、まっすぐに見つめてきた。

「獅子谷先生、これからよろしくお願いします!」

そして、勢いよく頭を下げた。

それに応えたい、そう思った。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします。」

「獅子谷、中村を頼んだぞ。」

「は、はい。」

「中村、お前1週間後にもう1度テストあるからな?そこで30点取れるように獅子谷にちゃんと対策してもらえよ?」

「はい!」

「悪いな、獅子谷。明日から夏休みなのに。」

「いえ、全然。」

「期待してるぞ。」

「…はい。」

「もう、みんな帰ってるから、2人とも早く帰れよ。」

「「はーい。」」

「あの、中村くん。」

「ん?何?」

「いや、その、下の名前聞いてなかったと思って…。」

「あー、海人(かいと)。海に人で海人。」

「了解。ありがとう。」

「そういえば、俺も獅子谷の下の名前知らないわ。教えてよ。」

「えっと、優。優しいって書いて優。」

「獅子谷、有名なのに下の名前全く知らなかったわ。笑 なぁ、優ってよんでいい?」

「いいよ。」

「あざす!俺のことも海人でいいから。中村くんってなんか硬くね?笑」

「わかった。そうする。」

「じゃあ、明日からよろしくな!優!」

「うん。また明日。」
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