ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
荷物をとりに教室に戻ると、高野さんがいた。

『獅子谷くん!』

「高野さん、なんでいるの?みんなもう帰ったでしょ。」

『獅子谷くんのこと待ってたんだよ。』

「…そうなんだ。」

『先生に呼び出されたんでしょ?なんか、悪いことしたの?笑』

「何にもしてないよ。」

『ですよね。笑 でも、ならなんで?』

「あの、学生が学生に教える制度あるじゃん?それで、教える側やってくれないかって。」

『獅子谷くん頭いいの?』

「え?」

『いや、その、悪そうに見えるって意味じゃないよ?』

「いいよ、フォローしなくて。勉強してるようには見えないだろうし、前はそんなにしてなかったし。」

『そうなんだ。何教えるの?』

「英語。」

『英語?!すごい、得意なんだ?!英語難しいのに…私はちょっと苦手だよ。』

「中学の時、登校禁止になったって話したよね?その期間中に会った人がいて、その人が教えてくれて…。」

『そっか。じゃあ、その人、恩師だね。』

「うん、すごくいい人だったよ。」

『私もお兄ちゃんによく英語教わったな。受験前とか。』

「お兄さん?」

『うん。私のお兄ちゃん英語得意なの。ペラペラだよ。』

「それは、すごいね。」

『獅子谷くんは話せるの?』

「いや、ペラペラではない。」

『話せなくはないってことか。すごいね。』

「本当に、全然だから。えっと、高野さんなんで俺のこと待ってたの?」

『連絡先教えてもらおうと思って。』

「…交換してなかったっけ?」

『してないよ。ほぼ毎日学校で会うし、いつも口約束だったから。』

「そっか。」

『夏休みだと毎日会うわけにいかないでしょ?でも、私は連絡取りたいから…いいすか?』

「いいよ。」

このあと、俺は高野さんと連絡先を交換して、途中まで一緒に帰った。

明日から、夏休みが始まる。
< 22 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop