ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「優、ここわからない。」

夏休みの初日、俺は学校の教室を借りて、中村くんに補修をしていた。

「この文は、過去のことを言ってるから、動詞が過去形になるんだよ。」

「過去形とかさ、edつけるだけのはいいけど、全然違うのになるやつとかあってわからないんだよな。」

「そう思って、一覧表作ってきた。はい、どうぞ。」

「えー、こんなに覚えんのかよ。」

「原形、過去形、過去分詞の順番で音読して。7回やれば覚えるよ。」

「読むだけでいいの?」

「まぁ、とりあえずは。」

「おっけ!」

中村くんは、素直な人だった。

俺の言ったことを受け入れてやってくれる。

昨日は、あんなに嫌がってたのが嘘みたいだ。

〜数時間後〜

「今日はここまで。お疲れ様。」

「っしゃー。頑張った!この調子ならテスト大丈夫な気がするぜ!」

「まだまだ、覚えることいっぱいあるから頑張ろうね。」

「おう!じゃあ、また明日な!獅子谷!」

「うん、また明日。」

帰り道、スマホを開くと高野さんからメッセージが届いていた。

ー来週の木金空いてますか?

中村くんのテストの次の日だから…。

ー空いてます。

メッセージ上だと、俺たちは何故か敬語だった。

ー私に2日ください。

何かしたいことでもあるのだろうか?

ーいいですよ。

ーありがとう!

メッセージはここで途切れ、詳細は明かされないまま、中村くんのテストの日を迎えた。

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