ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
夏休み、ひまわりとライオンは…
「へい!醤油ラーメンとチャーシュー麺、お待ち!!」

「あざす!」

「ありがとうございます。」

海人とボウリングをして、ラーメン屋にきた。

やばい、ずっと、泊まりのことが頭から離れない。

「優、腹空いてない?」

「普通にすいてるけど、どうして?」

「なんか、浮かない顔してるから。ボウリングの時からずっと。」

「まじ?ごめん。」

「てか、早く食べないと麺伸びちゃうよな?いただきます!」

「いただきます。」

泊まりって、高野さんの冗談だろうか?

そうならいいけど、もし本当ならじいちゃんになんて言おう…。

やましいことは決してないけど、なんだか言いにくい…。

「ぅんまっ!」

「う、うん。美味しいね。」

「それで、優どうした?」

「ん?」

「なんかあったんだろ?相談ならのるぜ。」

…海人になら、頼めるかも。

「海人、頼みがあるんだけど…いい?」

「おう。どした?」

「俺、明日からちょっと出かけるんだけど、その、じいちゃんに海人の家に泊まるって言っていいかな?」

「そんなこと?全然いいよ!」

「ありがとう。助かる。」

よかった、これでじいちゃんに心配かけないで済む。

「お家の人にそんな嘘つくって…優まさか、女子と泊まりか?」

「ゔっ。」

海人からの指摘に、俺はラーメンを喉に詰まらせた。

「大丈夫か?おい、これ水、水!」

「…ん、あ、ありがとう。」

「優。」

「な、何?」

「図星だろ?」

「お願い。それ以上聞かないで。」

「おまえ、結構やるんだな。」

「何言っての?!ちがうから!」

「いいなー。俺も女子とお泊まりしてぇー。」

「大きい声出さないでよ!変な目で見られるから。」

しょうもないやりとりを繰り返したのち、ラーメンを完食して、俺たちは店を出た。

「海人、このこと誰にも言わないでよ?」

「わかってるって、帰ってきたら話聞かせろよな。」

「まぁ、気が向いたら…。」

友達とこんな風に遊ぶのはすごく久しぶりだった。

楽しかった。

海人と出会ってから楽しいことが増えた。

楽しすぎて…この時の俺は忘れてた。

死ぬことを。
< 25 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop