ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
高野さんは、とまったまま動かなかった。

「高野さん、どうかしたの?」

『見て、獅子谷くん。』

高野さんの目の前に、1本のひまわりが咲いていた。

よく見ると、下の方の葉が黄色に変色していた。

『このこ、私と一緒だって思って。』

「…うん。」

俺は、頷くことしかできなかった。

『このひまわり、多分もうすぐ枯れちゃう。』

「…病気?」

『そう。』

「…。」

『ひまわりさん、あなたはとっても綺麗だよ。お互い、精一杯生きようね。』

高野さんはひまわりにそう言って、来た道を戻っていった。
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