ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
俺たちは、ひまわり畑から少し離れたところに座ってお昼を食べることにした。

ひまわり畑に来る前にコンビニで買ったおにぎりとサンドイッチだ。

『せっかくの旅行なのにコンビニでごめんね。』

高野さんは、いつもの高野さんに戻っていた。

「全然、コンビニ普通においしいし。」

『ここ良いでしょ。』

「うん、良い景色だね。」

俺たちが座ったところからはひまわり畑全体がよく見えた。

「ひまわり畑なら、もっと近場にもあったんじゃない?」

『そうなんだけど…どうしてもここに来たかったんだ。』

「どうして?」

『ここね、昔、お父さんとお母さんが旅行で来たんだって。』

「そうなんだ。」

『ここで、この場所でひまわり見て、すっごく感動したんだって。』

「うん。」

『だから私、陽葵李なんだ。』

「え?」

『この太陽に向かって咲くひまわりみたいに、明るい方を向けらようにって。これが、私の名前の由来。』

「…素敵な由来だね。」

『でしょ?笑 だから来たかったんだ。私の由来を見たかったの。』

「なるほどね。それなら飛行機乗ってまでここに来るのも納得だわ。」

『うん…あ、そうだ。獅子谷くん、写真撮ろう。』

「え、さっきいっぱい撮ったよ?」

『2人では撮ってないでしょ。』

「そうだけど…。」

『はい、撮るよ。カメラ見て。』

「わかった。」

スマホの画面には俺と高野さんの間にひまわり畑が広がっていた。

『ちょっと、何この距離感。もう少し寄って。』

「いや、でもー。」

『寄って。』

「…わかりました。」

『撮るよ。はい、チーズ。』

パシャッ

俺と高野さんの左側にひまわり畑が広がっていた。

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