ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
『獅子谷くん、今日撮った写真見せて。』

「あ、ごめん。カメラ返すの忘れてた。」

『ありがとう。どれどれ….うん、よく撮れてるね。』

「ならよかった。」

『このワンピース白にしてよかった。ひまわりと相性バッチリ。ありがとう獅子谷くん。』

「ほぼ自分で選んでたじゃん。」

『獅子谷くんの一言で白に決めたから。』

「そう。」

『うん。あ、この写真めっちゃいい!』

「いい、笑顔だね。」

『よし、これにしよう。』

「これにするって?」

『遺影。』

「え?」

『ちゃんと用意しておきたいなって思って。ほら、変なのにされたら嫌だし。』

「…だから、一眼レフ?」

『そう。お陰様でいい写真が撮れたよ。割と可愛く写ってるし、満足。』

「…なら、よかった。」

遺影の写真、準備するって…。

「高野さん。」

『お、なんか吐き出したくなった?』

「いや、その、変色…どこまで進んでるの?」

『…見る?』

高野さんは、ズボンの裾を太ももまで捲り上げた。

前見た時は膝下だったのに、変色は太ももまで進んでいた。

『もうすぐ、脚が全部黄色くなる。』

「…脚が全部変色したらー。」

『歩けなくなる。』

「…。」

『だから、今回が最後なんだ。自分の足で旅行できるの…いや、旅行自体最後かな。』

「…そっか。」

俺は、相槌を打つことしかできない。

『あ、聞いてほしいことって、これじゃないの。』

「…え。」

『私の推理を聞いてほしいんだ。』

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