ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
『獅子谷くんさ、花火大会いく?』

「海人に誘われたよ。断るけど。」

『なんで?行ったらいいのに。』

「何人かで行くんだって。俺が行くと空気悪くなりそうだから。」

『そんなのわからないじゃん。』

「わかるよ。」

『わからない。中村くんが、獅子谷くんと仲良くなったみたいに、獅子棚くんのこといい人だなって思ってくれる人はいるはずだよ。』

「でもな…。」

『誤解を解くには人と関わらなきゃ。』

「あ、俺人混み苦手だった。よし、断ろう。」

『それ今考えたでしょ。』

「いや、ちゃんと少し苦手。」

『わかった。じゃあ、お使い行ってきて。』

「お使い?」

『花火大会って出店あるでしょ?』

「…あるね。」

『お面を買ってきて欲しいです。』

「は?」

『ほら、私こんなになっちゃったし、検査日と被ってて病院だから花火大会行けないの。それに被ってみたかったんだよね。お面。』

「何言ってるの?」

『だから、花火大会に中村くんたちと行って、私にお面を買ってきてってこと。渡すのは後日でいいから。』

「えー。」

『お願い。死ぬまでに被ってみたかったんだ。お面。』

「…死ぬまでにやりたいことしょぼすぎ。」

『よろしくね。』

こうして、俺は花火大会に行くことになってしまった。

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