ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「えっと、面会で高野陽葵李さんなんですけど…。」

「少々、お待ちください。」



病院の受付で、番号を聞き高野さんの病室に向かった。



「高野さん…獅子谷です。入っていい?」

『獅子谷くん?! どうぞ。』

「失礼します。」

『獅子谷くん…なんで?花火は?』

「ん?ちゃんと行ってきたよ。そうだ、はいこれ。」

俺は高野さんにお面と綿飴とりんご飴を渡した。

『あ、ありがとう…おまけ付きだ。』

「いや、それはその、好きなものとか分からなかったから、適当に買っちゃっただけで…いらなかったらいいから。」

『獅子谷くん、綿飴とりんご飴どっち好き?』

「え…綿飴?」

『お! 私はりんご飴派なんだ。ちょうどいいね。はい、どうぞ。』

そう言って、高野さんは綿飴を渡してきた。

「でも、これは高野さんにー。」

『一緒に食べた方が美味しいでしょ? あと私、2つも食べられないし。』

「…じゃあ、いただきます。」

『いただきます。 ん〜おいひい。』

「甘いな。」

『やっぱり少し食べたいな。ちょっとちょうだい。』

高野さんに綿飴をひとつまみとられた。

『獅子谷くん、りんご飴いる?』

「な、何言ってるの高野さんっ?!」

『ごめんごめん、冗談です。』

高野さんにからかわれた。



「陽葵李ちゃん、入るよー?」

『はーい。』

若い女性の看護師さんが入ってきた。

「はじめまして、看護師の小山真美子(こやま まみこ)です。えっと、陽葵李ちゃんの彼氏さん?」

「?!……違います。」

驚いて返事が遅れてしまった。

『お友達の獅子谷優くんです。』

「あら、ごめんなさい勘違いして。陽葵里ちゃんのことだから彼氏さんかなって思って。」

『私、彼氏いないですよ?そう言いませんでしたっけ?』

「隠されたかなって思ったの。」

『そんなことしないですよ。私、真美子さんのこと信頼してるんで。』

「そういってくれて、うれしいよ。」

看護師の小山さんと高野さんはかなり仲が良さそうだった。

「あ、獅子谷くんだっけ?ここの屋上から花火見えるけど陽葵李ちゃんと見てく?」

……え。
< 56 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop