ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
全てを知った、ライオンは…
「優ー、夕飯できたぞ。降りてこい。」

「今行くー。」

この日の夕飯はカレーだった。

「いただきます。」

「いただきます。」

きっと今頃、高野さんはご両親と楽しい時間を過ごしているだろう。

ご両親に心配かけないように、腫れた目を必死に冷やしていた。

「じいちゃん…。」

「ん?」

「俺って、小さいとき母さんの前で泣いたことある?」

「うーん、そうだなぁ…優はそんなに泣かなかったからなぁ。」

「そうなんだ。」

「小さいくせに、転んだりしても我慢してたよ。あぁ、そういえば1回だけあったな。お前が泣いたこと。」

「…いつ?」

「お前の母さんがインフルエンザになったときだ。」

「…インフルエンザ?」

「あぁ、そうだ。お前の母さんは滅多に風邪ひかなかったからな。高熱出して苦しそうな母さん見て、不安になったんだろう。」

「…そうだったんだ。」

「急にこんなこと聞くなんてどうした?なんかあったか?」

「いや…親の前で泣かない子供って、親はどう思うのかなって…。」

「ん?なんだって?ちょっと、聞こえんかった。」

「ううん、なんでもない……カレー美味しいね。」

「そうだろ?お前の母さんの、レシピだ。隠し味があるんだよ。」

「隠し味?」

「当ててみ。合ってたら教えてやる。」

「…まだわからないや。」

「そうかそうか。」

ハッキリとは覚えていないけど、俺はこのカレーが嫌いだった気がする…。
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