ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
俺は、陽葵李さんにノートを届けるために病院に行った。

「高野さん、獅子谷です。入ってもいいですか?」 

『どーぞ。』

「…これ、今日の分。」

俺はノートを手渡した。

『ありがとう。助かるよ…‥…獅子谷くんノートすごく綺麗だね。わかりやすい。』

「…それならよかった。」

『獅子谷くんなんか、元気なくない?大丈夫?』

「…高野さん。」

『なに?』

「…お兄さんが亡くなったのっていつ?」

高野さんの顔が曇った。

『…誰から聞いたの?』

「……お兄さんが亡くなったのって、合格発表の日?」

『…ちがうよ。』

「それ、嘘?」

『…。』

「…高野さんのお兄さんの名前って何?」

『…やめて。』

「正直に答えて。高野さんのお兄さんの名前は優真(ハルマ)で、俺たちの合格発表の日に亡くなった…そうなんでしょ?」

『やめて!』

「やっぱり…ハルマくんは高野さんのお兄さんなんだね。」

『獅子谷くん、あのねー。』

「俺、帰るね。」

『獅子谷くん!』

俺は、病室を飛び出した。
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