ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
連絡を受けて、俺はすぐ病院に向かった。

「入るよ、高野さん。」

『はーい。』

今までにないくらい勢いよくドアを開け、病室に飛び込んだ。

そこには、狐のお面を被った高野さんがいた。

「…。」

状況をうまく理解できず、俺は固まった。

『久しぶり。』

「久しぶり…。」

『今ね、起き上がれないんだ。なんか、体が重くて。』

「…そうなんだ。」

『うん、わざわざきてもらったのに寝たままでごめんね。』

「それは、別にいいんだけど……えっと、ふざけてる?」

『一切ふざけておりません。』

ふざけてる人の声のトーンと話し方だった。

「えっと…正直心配してました。」

とりあえず、お面のことはスルーすることにした。

『心配してくれたんだ…ありがとう。』

「するよ、そりゃ。あ、えっと、これ檜山さんから。」 

俺は、檜山さんから預かっていたプレゼントを高野さんの上に置いた。

『六花、今年も用意してくれてたんだ……獅子谷くん、これあけてもらえないかな?』

「わかった。」

プレゼントの中身はは口紅だった。

『これ、私が欲しいって言ってたやつだ。』

「その口紅、色綺麗だね。高野さんぽい。」

『獅子谷くん、これ、ティントっていうんだよ。』

「ティント?」

『口紅より色持ちがいいの。』

「いまってそんなのあるんだ…。」

『化粧品なんて、どんどん新しくなるからね。』

「…そうなんだ。」

女子は色々と大変そうだ。

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