ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
『…獅子谷くん、クリスマスの日ごめんね。』

「全然、気にしてないよ。」

『…クリスマスパーティーしたかったな。』

「しょうがないよ。」

『バレンタインはやろうね!』

「もうバレンタインの話?1ヶ月以上先だよ?」

『1ヶ月なんてあっという間だよ。』

「そう。」

『獅子谷くんチョコ好き?』

「…普通に好きだよ。」

『そういえば、甘いもの大好きだったね。』

「まぁ。」

『クリスマスすっぽかしたお詫びに、友チョコあげるよ。』

「いや、いいよ。」

『…本命の方がいい?』

「何言ってるの。」

『本当は手作りしたいんだけどね、この体調じゃ今年は無理そう。買いチョコでもいいですか?』

「体調悪いなら大人しくしててください。」

『はーい。』

「…あのさ、なんでお面付けてるの?」

気になりすぎて、スルーしきれなくなった。

『覚えてる?これ、獅子谷くんからもらったやつだよ。』

「それは覚えてるけど…。」

『今私ね、すっごく顔が浮腫んでるの。恥ずかしいからお面して隠してるのです。』

「別に、隠すことなー。」

『あるよ。今ね、獅子谷くんが想像してるよりブサイクだから。』

「そうですか。」

『そーですよ。』

「…。」

『…。』

「えっと…観察日記読んでもいい?」

『どうぞ。』


ー今日は、有益な情報を手に入れた。なんと、ライオンくんは甘いものが大好きらしい。来月はバレンタイン!僕から何かプレゼントしよう。妹に教えてもらって手作りでもしちゃおうかな。ライオンくん、喜んでくれるかな。







ーバレンタイン前日!妹に教えてもらいながら生チョコタルトを作った。が、失敗してしまった。僕は料理のセンスがないらしい…。妹は、僕が材料を無駄にしたと怒っている。ごめんなさい。妹に頼み込んで、妹が作ったタルトを分けてもらった。これを使って、ライオンくんに見栄を張るとしよう。



「あのタルト作ったの高野さんだったんだ。」

『お兄ちゃん、獅子谷くんに渡してたんだね。一切れくださいってめっちゃお願いされたの。』

「すっごく美味しかったの覚えてる。優真くん料理上手だなって思ってたのに、騙されてたわ。」

『まったく、私のお兄ちゃんは。』

「…タルト、とっても美味しかったです。ご馳走様でした。」

『お粗末さまでした。』
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