オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
だけど、手のひらに意識を持っていかれている私は、その話を聞いても相槌をうつだけで精一杯だった。
手を引っ込めようとしても、雅紀の指がそれを許さないというように捕まえてくる。
これ以上は限界――、そう思った時茉依がトイレに行ってくると席を離れた。
「ちょっと、雅紀っ」
その隙に、私は隣ですました顔をしている雅紀に抗議する。
「私の手で遊ばないでよ。茉依に見つかったらどうするの!」
「鳩原は自分の話でいっぱいいっぱいになってるから大丈夫だ。それより、お前のその真っ赤な顔をどうにかすればバレないだろ?」
そう意地悪にニヤッと笑う。
まったく、誰のせいだと思っているのよ。
茉依ほどお酒は飲んでいないし、結構強い方だから、今飲んでいる量で酔うはずがないことは雅紀にもお見通しだった。
「雅紀が離してくれればどうにかなるでしょ」
「離してもいいのか?」
「うっ……」