オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない


 そして運がいいのか悪いのか、私はそれを度々目撃していた。


 その組み合わせは様々だけれど、今回はなんと告白されているのは雅紀だった。


 盗み聞きは良くないと思いながらも、ついもの陰に隠れて聞いてしまう。しかも、その声の持ち主はあの子だ。


 変にドキドキしてしまうのはどうしてだろう。


 雅紀を信用していない訳ではないけれど、あんなに可愛い子が告白してきて断る人なんてそうそういない。

 私がもし男だったら、即オッケーするだろう。


「この間話しているのを聞いてしまったんです。私のこと狙ってるって――だから、私にもチャンスかなと思ったんです」


「この間……? あぁ、あの時の」



 私に聞こえていたように、あの時の会話は彼女にも聞こえていたのだろう。

 あれだけ声が大きかったのだから、たぶん他の人にも聞こえている。



「あれは――」



 私は雅紀の返事を聞くのが怖くて、その場から逃げ出した。もし、いい返事をしてしまったら?


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