オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
「えっ? どういうこと?」
ニヤッと笑って言った茉依は一ミリも怒っていない。
どうやら茉依は、この間の居酒屋での一件を見てしまったらしい。トイレから戻ろうとした時にこっそりと。
その前は酔っていて気づかなかったけれど、すこし休んで酔いが覚めたころに私たちがイチャイチャしているところを目撃したのだそう。
「まったく、いつ言ってくれるのかと待ってたのに、言ってくれないんだもん」
「それは――ごめん……」
「いいよ、分かってるから。相手が夏目だからしょうがない」
茉依は笑って許してくれた。言うのを躊躇した理由も分かっているらしい。
「それで? 夏目となんかあったんでしょ?」
「うん……。実はさっきね告白されてるのを見ちゃったんだ」
この時期だし、付き合っていることを公表していないから仕方がないと言われればそれまでなんだけど。
今回は相手が悪い。
「相手が、その――あの子だったの……」