オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない

「あ〜……なるほどね、それで取られちゃうかもって不安になってるわけだ」



　茉依の言葉に私は頷いて答える。だって、私に勝っている要素なんて何もないから。


　可愛さも、愛され上手な立ち振る舞いも、全てにおいて負けている。



「私は、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うけどなぁ」



　そう言われても、自信なんてどこにもない。


　雅紀があの子になびかれないなんて保証はないのだから。



「夏目はたぶん、瑠花しか目に入ってないよ。だからドーンと構えてなさい、彼女でしょ？」


「でも……」



　あの子がいいからと、振られない保証なんてどこにもない。



「大丈夫、瑠花は可愛いよ。ふたりはお似合いだと思うし、夏目も瑠花の気持ちを分かってる。私はふたりのこと応援してるしね」



　茉依は、私の不安なんて吹き飛ばすかのようにそう言った。

　同期だからそう言ってくれているのかもしれないけれど、怒るわけでもなく、反対されるのでもなく、応援してくれた。