オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない


 私は途中で逃げ出してしまったけれど、あの子にとって嬉しい返事をしたのかもしれない。


 そう思ったら、火照っていた顔が急激に冷めていくのを感じた。



「聞いてたよ。私はあの子みたいに可愛くないもんね。こんなところに来てないで、早く行ってあげたら?」


「はっ? 何を言って……」



 違う、本当は行って欲しくなんかない。私から離れないで欲しい。

 そう思っても、言葉では真逆のことを言ってしまう。



「あんな風に甘えられないし、可愛げもない。私よりあの子の方がいいよね? 早く行きなよ」


「だから、ちょっと待てって」


「待つ必要なんかないでしょ?」



 答えなんて分かりきっている。残酷な答えを聞くよりも、早く立ち去って欲しい。


 私は背後から回されている腕を振りほどいて彼の前から抜け出そうとした。

だけど、雅紀は緩めるどころか、さらにキツく抱きしめてくる。



「いやっ、離して!」


「離さねぇから。そんな泣きそうな顔して何言ってんの?」


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