オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
後ろからで見られないはずだったのに、雅紀は私の顔を横から覗き込んで確認してくる。
そして、顔を逸らすのを許さないとでも言うように私の顎を指で誘導した。
素直に従ってしまう自分が嫌になる。でも、それを無視するなんてことは出来なかった。
「お前、その様子だとあの時最後まで聞いてないだろ」
図星をつかれてなんにも言えない。
このまま盗み聞きを怒るかと思ったのに、なんでそこまでしか聞かなかったんだと雅紀は怒ってくる。
どうして――?
「あの告白は断ったからお前が心配するようなことはないよ」
「そんなの嘘! あの子に告白されて嬉しくない男がいるはずない」
誰だって、あの子に惹かれてしまう。
「私があの子に勝てるはずないもん……あんなに可愛くないし、甘え上手でもない。私なんかが雅紀と付き合う資格なんてないんだ……」
雅紀みたいに有能でイケメンの人気者は、私の隣にいていい人ではない。もっとお似合いの人がいる。