オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
私では持っているものが足りない……そう思った。
考えれば考えるほど、暗闇に落とされるような感覚になり、悪いことばかりが浮かんでくる。
「――か! 瑠花! 俺を見ろ」
いつのまにか、自分の思考回路に持っていかれて周りの声をシャットダウンしていた。
なのに雅紀は、そんな私をいとも簡単に引っ張りあげる。
「お前それ、本気で言ってんの?」
私はもちろん本気だ。
媚び売ることもできないし、可愛く甘えることもできない。
そんなことをしたら恥ずかしすぎて穴に入りたくなってしまうだろう。
私が小さく頷くと、雅紀はため息をついてから真剣な目で私を見てきた。
「もっと俺を信用しろ!」
「え?」
雅紀は座ったまま私の膝の下に手を入れてヒョイッと持ち上げると、向かい合うような形に姿勢を変えた。
軽々持ち上げられてしまうとは思ってもいなかったけれど、素早すぎてドキドキする暇もない。