オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない


 だけど、特に不審には思わなかったのか茉依は絶対だから、最後まで聞いてよと約束していた。



「はぁ、分かった。聞いてやるから仕事定時で終わらせろよ」


「それはもちろん」



 私を置いて、二人で勝手に話が進んでいく。

 二人が定時で終わらせるということは、私も終わらせなくてはいけないという事で……。


 私は机の上に積み重なっている、今日中に終わらせなくてはいけない書類を見て小さくため息をついた。



◇◇◇



「瑠花、終わった?」



 定時の合図が社内になった瞬間、茉依が片付け始めて席を立った。



「終わったよ。今準備するね」



 あんなにあった書類はどこに行ったのかというくらい、綺麗さっぱりと片付いている。


 私だけ残業して、茉依と雅紀がふたりだけで先に行ってしまうのが嫌だったから頑張って終わらせたなんて、誰にも言えない。


 そんな小さな嫉妬を知られたくない。

 私は仕事用のカバンに必要なものだけをしまい、茉依と一緒にオフィスを出た。

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