オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
「夏目くんは終わったのかな?」
オフィスにいなかったから、どこかで打ち合わせでもしていたのかもしれない。
私はキョロキョロしながら、雅紀の姿を探す。
「あの夏目に限って、残業はないでしょ……。入口で待ってれば出てくるよ」
雅紀は優秀だから、仕事もいっぱいある。
それでもこなしてしまうのだから、上司からも慕われていた。
スマホを見たけれど、雅紀からの連絡は来ていない。だからきっとすぐ来るだろうと思い、私たちは会社が入っているビルのエントランスで待つことにした。
「……あの子はきっとデートでもするんだろうね。それでそのままお泊まりしてイチャイチャするんだ……」
置いてあるベンチに並んで座っていると、仕事が終わって帰る人の中に、社内一可愛いと有名な子が通った。
直通関わることはあまりないけれど、噂でよく聞いているからどんな人物なのかは知っている。
愛想が良くて、助けてあげたくなるような性格。そして彼女は結構モテる。