オオカミな同僚は溺愛したくて堪らない
初めは気のせいかと思ったけれどどうやら違うらしい。
私はちらりと横を見たけれど、雅紀は茉依の方を見ていてこちらを見ていない。だけど、右手は何故か私の手を寄越せと主張してくる。
茉依にバレないかとドキドキしながらも、私は雅紀の誘いを断れずに手を伸ばしてしまった。
見つからないように、机の下で隠れて繋がれる私の手は雅紀の大きな手に優しく包み込まれる。
そして、初めはただ繋いでいるだけだったのに、時間が経つにつれて動き始めた。
指を絡めてきたり、ぎゅっと力を入れてみたり、手のひらをくすぐってきたり……私の手で遊んでいる雅紀は少し上機嫌に見える。
私は酔っていないのに顔が熱くなってしまい余裕がなくなっていくのに、雅紀は至って普段通りだった。
茉依は既に酔っているのか、私たちの手が机の下で繋がれていることには全く気づいていない。
こちらの様子を気にする素振りもなく、何度も彼のことが絶対に許せないと話している。