ワンコ社長は小さな秘書を手放せない
「じゃあ終わったらいいんだね? 終わったら美桜ちゃん補充するから。それじゃあ頑張ろーっと」
「えっ? ちょっと、社長!?」
そういう意味で言ったわけではないのに。しかも、補充って何をするわけ!?
やる気になったら終わらせるのが早い柊は、上機嫌で机に向かっている。
仕事はできるくせに、自分からやろうとしない。隙あらば私に構ってくる。そしてご褒美をねだってくるのだ。
「ふふふっ。ナイスよ美桜ちゃん」
「先輩……あとが怖いんですが……」
周りからしたら仕事をしてくれる社長の方がいいだろう。その分定時で帰れる確率が上がるから。
だけど、そのために私を犠牲にするなんて……。
それが当たり前のようになりつつあるのだから困ったものだ。
「まぁまぁ、美桜ちゃんだって嬉しいでしょ?」
「そんなことっ……!」
ないとは言えなかった。確かに、私だって本気で嫌なわけじゃない。