ワンコ社長は小さな秘書を手放せない
「美桜ちゃんしかいないんだよ」
信じてくれる? と私を見つめてくる。そんな熱い視線を向けられて信じられないわけがない。
私は小さく頷いてポツリと呟いた。
「疑ってごめんなさい……」
柊は優しく私の頭を撫でてくる。その手がちょっと気持ちいい。
「いいんだよ。むしろもっと嫉妬して!」
「はい?」
「僕は美桜ちゃんに嫉妬されたいんだ」
なんだか柊がいつも通りすぎて、思わずガックリと力が抜けてしまう。せっかくいい雰囲気だったのに、台無し感が半端ない。
だけど、そんな柊を見て私はとても安心した。