ワンコ社長は小さな秘書を手放せない
そんな緊張が分かったのか、私の頭をポンポンしてから、逃げないでねと言ってお風呂に入っていった。
「やっぱり……」
柊はそういうつもりなんだ。まったく、おちつくどころか、さらにドキドキしてしまうではないか。
しかも、ゆっくり入ってくれればいいのにシャワーで済ませたのか、落ち着く前に出てきてしまった。
とてもラフな服装なのに、濡れた髪がとても色っぽい。カッコ良さが増している気がする。
「速いですね……」
「美桜ちゃんはゆっくりしてきていいよ」
思わず見とれてしまっていた私に向かって、柊ははいっと紙袋を渡してきた。
「お風呂の後、これを着て出てきてね?」
私が袋を開けようとすると、柊が慌てて止めて来る。
開けるのは、着る直前にと言われた。
「これって……?」
「クリスマスプレゼント?」
なんで疑問形なのだろう。中身がとても気になるけれど、ダメだと言われてしまっては仕方がない。
どうせ後で見れるのだから今は我慢しよう。