ワンコ社長は小さな秘書を手放せない
あの後私は気を失うように寝てしまったらしい。
離れようとするけれど、離れたら見られてしまうと思い動けなくなる。
「ふふっ嘘だよ。身体大丈夫?」
「だ、大丈夫です……」
「なら良かった」
優しく包み込まれる私は、柊の身体にそっと寄り添った。
「あっ、そうだ! これあげる」
少し離れて、ベッドサイドの引き出しを開けた柊は中から何かを出した。
そのまま動かないでねと私の頭の下に腕を回すと、首元に違和感があった。
「ネックレス……?」
「うん。似合ってる」
一体いつ用意したの? まさか、こんなにプレゼントを用意してくれていたなんて思ってなかった。
「これ……」
「えっと、実は――昨日美桜ちゃんがトイレ行ってる時に買ったんだ。似合うと思って」
トイレ行ってる時? それじゃあもしかして、あの時笑っていたのはこれを見ていたから?
私は勘違いして、八つ当たりしてしまったことを思い出して恥ずかしくなってくる。