パン職人の店長を、好きになりました。
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「――お疲れ、彩愛ちゃん」
「あ、お疲れ様です。あとここの掃除やったらあがりますね」
夜一八時になると、出入り口に鍵をして窓やショーケースを拭く。店内の掃除をするまでが仕事、でも今からが楽しい時間だったりする。
「彩愛ちゃん、残ったパン持って行っていいよ。あと、新作の相談なんだけど……」
「ありがとうございます。新作出来たんですか? 食べたいですっ」
「うん、やっと出来たんだよ。おいで」
店長に手招きされて休憩室へ行くと机には美味しそうなスイーツ系のパンが三種類お皿に盛られマグカップには私の好きなミルクティーが入っている。
「どうぞ、ここ座って」
「はい、いただきます……あつっ」
「大丈夫? 火傷とかするかもしれないから気を付けなよ」
私は「わかってます」と小さな声で言うと、パンにかじりつく。口の中でチーズクリームとカボチャペーストがマッチしていて……甘すぎることなくあっさりしてて、美味しい。