パン職人の店長を、好きになりました。
《庵side》
「お疲れ様でした、お先に失礼します」
唯一のバイト店員である高校の制服姿の彩愛ちゃんは厨房の入り口で顔をひょこっと出した。ベレー帽をかぶっていたからか髪は少しふわっとなっていて可愛い。
「お疲れ〜! 明日もよろしく」
「はい。明日もよろしくお願いします」
ニコッと笑い、裏口のドアを静かに閉めて帰っていった。それと同時に「はぁー……」と盛大なため息と同時に机に手を付きしゃがんだ。
「あーもう、可愛い」
今日も彩愛ちゃん可愛かった……この年になって、女子高生に恋するなんて。
俺って年下好きだったっけ……と思うけど。彩愛ちゃんを好きになったのはつい最近じゃない、彼女がここに来た日から。
『いらっしゃいませ』
『あの……外の貼り紙見たんですけど、雇ってくださいっ』
一目惚れ、だった。
女子高生に惚れたなんて、変態かよと自分でも思った。それに犯罪だよなと思ったが、もし断ったらもう会えないような気がした。