僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
『島崎って、男っぽいよね』
ある日、ケイと二人で並んで帰った時にそう言われた。
ズキンって心が痛くなったけど、なんとなく話してみようかなって思ったんだ。
もう、自分の心を誤魔化せないくらい好きになっていたから…。
全てを話して、終わらせたい気持ちもあったんだと思う。
俺は、今日行った公園でケイに話し出した。
小さな頃から感じてた違和感を素直に打ち明けた。
そんな一大決心をしたのは、ケイってべらべらと誰かに話してしまうイメージがなかったからだとおもう。
軽蔑されたらどうしようって思う反面、誰かに聞いて欲しくて堪らなかったんだ。
もし―――そんな自分を受け入れてくれたら・・・・。
そんな淡い期待もあった。
初めての違和感は、記憶が曖昧な時期から始まっていた。
七五三の時に女の子用の着物を、嫌がった事から始まっていたんだ。
だから、シンプルな柄の袴にしたんだよって聞かされた。
衣装の中には女の子用の袴もあったから、その頃の親は特に違和感に気づかない様子だった。
『このスカートやだ』
小学校の入学式で言ったセリフ。今でもそう言ったあとの困った顔が浮かんでくる。
『何言ってるの、今さら他のなんて用意できないんだから、これにしなさい』
母さんは、従妹から貸して貰った服が気にいらないって思ったみたいだったけど、嫌がった理由は、そういうのとは違うんだ。
前の年に近所に住んでいる一つ上の晴秋が着た”男子用の服”が着たいって意味で言ったんだけど、「これしかない」って言われて、渋々諦めたのを覚えてる。
集合写真、学芸会、卒業式。
その後、何度かスカートを履く機会があったけど、やっぱり恥ずかしくて、凄くイヤだった。
中学の制服を着る頃には、流石に普通じゃないんだって気が付いて、それから不満は心で思うだけで、人に話す事も母さんに話すこともしなかった。