僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「改めて、おかえり紫音」

「お疲れ様、紫音君」

「うん、ただいま」


目の前には紫音が好きなものばかりを揃えたごちそうが並ぶ。

”出張先のご飯が不味くて食欲ナシ”

そんなラインをもらってたから余計にほのが腕をふるっていた。

「あーっ、美味いわ。やっぱおうち最高」
「自分で作っておいて言うんだから」
「んじゃあ、俺最高だね」
「もうっ、私も作りましたぁ」
「半分も作ってないくせに」

この二人の痴話げんかはいつものことで、俺はそれを面白がって見ることが日常だった。

よかった、上手くいってる。

この生活は、まだまだ続けていける。


そう、思っていた。

俺がうまく立ち回れば…



この二人の気持ちが離れないように、ずる賢く立ち回れば、永遠の安堵が手に入る。


「ほの、好きだよ」

「うん・・・・」

「紫音もね」

「ん、」



甘く、とろけそうな長い夜を共に過ごして、大きな安心感と温もりに包まれながら、新しい朝を迎える…

そんな幸せが、これからも続くって

そんなバカげたことを信じて疑わなかった。



自分が最低だって、わかってる。
最低最悪で、人を不幸にするだけの存在だって。

それでも、俺はこんな生活をやめることが出来なかった。

日の光に照らされる存在になれない俺は、暗闇を一人で過ごす夜が酷く怖かった。


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