僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
許す心
テントに連れ込むことは出来ないし、人目がある場所も気が引けた。
「すいません、スタッフの者ですか、昼間にこの先で忘れ物しちゃいまして」
そんな嘘をつきながら、首から下げてる認証カードをガードマンに見せつけて入ってきたのは、今日の騒動があった場所。
奥に進めば誰もいなくて、話すにはいい環境だった。
「元気だった?祐ちゃん」
「まあ、それなりに。ケイは?」
「まあ、それなりに?」
あんなに泣いたのに
あんなに恨んだのに
あんなに落ち込んだのに
不思議なほど普通だった。
過去のことが、まるで何もなかったかのように。
「一人で来たの?」
「うん。どうしても見たいバンドがあったから」
「そう・・・」
いつかのニュースが俺の頭にフラッシュバックした。