僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
三年になって、クラス発表の日。
ケイと同じクラスにならなかったことに、安心した。
三年になるとお気楽だった奴らも受験を視野に入れてくる。
そのま受験一色に染まりそうな雰囲気の中、俺だけがやる気がなくて取り残されている感じがしていた。
前の席から回ってきた”進路調査票”の用紙を見つめるけど、何を書けばいいか分からないから、白紙のまま出した。
そうしたら、案の定担任から呼び出しをくらう。
「島崎、どうしたんだ?この時期に白紙はないだろう」
これからの進路について、白紙になってしまった俺は、何をしたいのかも真っ白状態。
元々は、ケイが東南アジア系の国で海外留学を考えていた。
それについていくように、仕事をしながらあっちで働こうと思っていたんだ。
具体的には決まってないけど、ワーホリ制度を活用して、仕事しながら暮らして行こうと思っていた。
でも、そんな夢はなくなった。
そもそも。ケイについて行きたいだけだったんだ。
その土地でやりたかったことは一つ。
自分の性に嘘をつかなくてもいい国に行きたい。
ただそれだけだった。
「まだ決まってません」
「そうか・・・まあ、まだ時間があるけど、ゆっくり考えてる暇ないからな?」
「はい」
職員室から出て、教室に戻ろうとしたら、ケイが向こうから歩いて来るのが見える。
出来るだけ視界に入れないように、まっすぐ歩いた。
ケイが俺に気付いて、何かいいたそうだったけど、気づかないふりして真っすぐ歩く。
彼は俺を悲しい目で追っていたけど、声をかけることは無かった。
フラれてずいぶん時間が経つけど、やっぱりケイを見ると、心臓を鷲掴みされたように苦しくなる。
こんなのが、一年続くのか・・・地獄だな。